未知の世界




「・・・うえー」
「・・・なしたの」
「うひー・・・っく」
「言ってみな」
「アンタになんていいたくないよぉー・・・うえー」
「・・・さようですか」

俺の腕の中で泣いてるっていうのに、俺の胸で泣いているというのに。
さっき急にドアを開けて入って来て、「胸をかせ!」。
それからずっとずっと泣き止むことは無い、それどころか泣き声は増している。
お茶を出す事もできず、理由を聞くことも許されず、座る事も出来ない。
玄関で泣き続けてる。底冷えして寒すぎる。

「此処にいたら冷えるし、リビング行こう。な?」
「・・・っく、う、ん」

とりあえずリビングへ行こうとして腕を放そうとすると、「このままで!」。
もの凄い声で言われたので俺も「お、おう」。
妙なダンスを踊っているかのような動きでリビングまでの道のりを進む。
何やってんだろ、俺。
コイツの為に、コイツなんかの為に・・・コイツだからこそか。こんなことしてんの。


「ソファー座る?」
「・・・うえー・・っく」
「・・嫌なのね」

どうやら入ったはいいもののどうも出来ないらしい。
なんとなく泣いていることの理由は解る気がする。・・・や、やっぱりわかんない。
はよく解らない、未知の世界がまだ多分一杯ある。
雨が好きだと言ったのに違う日には、大嫌いと言ってみたり・・俺には理解不能。
それでも傍にいたいと思う俺ってやっぱのこと好きなのか。
こうして抱きしめてる今も、ちょっとおいしいと思ってる。
その気持ちもまた、未知の世界かも。










(05/12/11 未知の世界)

















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