「あっ、それそっちじゃない?」

「えっ、こっちじゃねぇの?てか、もうしんどい」

「頑張らなきゃ!!」


崩れたジグソーパズルを今元通りにしようと頑張っています。

何故そんなことをしているかは、一時間前まで遡ります。














崩れたジグソーパズル



















「今日親いねぇから。」

彼氏のから電話が入ったのは一時間前。

初めて家に呼ばれてルンルンで自転車をの家まで漕いでいった。

何となくあんなことや、こんなことに備えて色々と準備もして来た。

女の私が思うのは変だとは思うけどなんだかニヤニヤしてしまう、あー駄目だ。























呼び鈴ぐらいは普通に鳴らさなきゃ。

平然と「家にこれて嬉しいな」みたいな感じ、でね。


「おぉ、」

「どうも、おじゃましまーす」

「あいよ。」




の家は思っていたよりも大きくて、綺麗で驚いた。

のお母さんはきっとすごく綺麗好きなんだろうなぁ。

リビングには大きなジグソーパズルが置いてあった。イルカが二匹、寄り添って泳いでいる写真のパズル。


「これ・・・誰の趣味?」

「え、あぁ。お袋の趣味。変だろ?」

「や、凄い綺麗。」

「そ?」


は台所で私のためにココアを入れてくれている。

この距離感が不安では無くてなんだか普通なのがカップルって感じで嬉しくなった。

・・・や、私達はそのカップルというヤツなんだけれど。

一人ボケ・ツッコミは大分寂しいかななんて思いながら台所とリビングという距離感での会話を楽しんでいた。

すると、またパズルが気になってきた。


「あ、パズルさわってもいい?」
































疑問系で聞いたものの、返事は「うん」だと私は確信していた。

今更返事にはイエス・ノー二通りあることに気が付いても遅い。

「あぁ、それ」

私はパズルにそっと触れた。


















「お袋が」


ガシャガシャガシャガサァァァ・・・!!

素晴らしい速度で私の前で一斉にパズルは崩れた。

それとともにの声が小さくなって


「まだ途中だから」


また大きくなった。


「さわるなって言ってたんだよ!!」

そして私の声も数分前の可愛らしい声ではなく、

「すみません!!!!」

ただのバカデカい声となった。


































と、言うわけで今私とは必死でパズルを元通りにしています。

のお母さんというのはとてもパンチが効いていて怖いらしい。

それでいてパズルが趣味だなんて・・・少し笑える。って失礼か。


「“頑張らなきゃ!!”ってもとはといえばがー」

「すいません!もう、早くしよう!」


勿論数分前までの優しいは何処へやら、ただのグダグダ言うになっている。

やっぱりお互い猫被ってたのね・・・。












「俺らさぁ、最初猫被ってたな。やっぱ」

別れ話か!?と一瞬ヒヤっとしたけど、顔をあげるとグダグダした笑顔では言っていた。

別れ話ではないらしい。

「んー、そうだね。」

私もグダグダした笑顔で返した。


























「何か、うん。俺こっちのも好きかも」

「・・・ありがとう」

私もこっちのも好きかも。

「ある意味パズルが崩れてよかったのかも、な?」

「うん」

崩れたパズルと共に崩れたのは私達の猫かぶり。

素を出すのって意外と怖くないんだね。

崩れ去ったあと残ったのは素の私達。

























































「やっぱりパズル壊れて良くなかったー!!」

も私も数分後にはこう叫んだけれど。











ま、いっか。














                 fin...































崩れたジグソーパズル//無音





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